【FP解説】水害に遭ったら、家の片付け前にやってほしいこと
もし自宅が水害に遭ったら、家の片付けを始める前にやってほしいことがあります。
それは、
被害状況を写真に残すことです。
泥や水で汚れた家を目の前にすれば、一刻も早く片付けたいと思うでしょう。
「こんな状態を写真に残しておきたくない」
そんな気持ちになるかもしれません。
それでも、スマートフォンを取り出して、数分だけ写真を撮ってください。
その写真が、その後の火災保険の請求や罹災証明書の取得などで、大切な資料になることがあります。
千葉県でも大きな水害が発生しました
この記事を書いているのは、2026年8月15日です。
8月13日、私が住む千葉県では記録的な大雨となり、千葉市、市川市、船橋市、松戸市など多くの地域に大雨特別警報が発表されました。翌14日、気象庁はこの豪雨を「令和8年8月千葉豪雨」と命名しています。
私自身も出先から帰宅する途中で交通機関が止まり、危うく帰宅困難者になるところでした。
自然災害は、
「いつか、どこかで起きるもの」
ではありません。
突然、自分自身が当事者になる可能性があります。
そして実際に自宅が水害に遭ったら、保険のことまで冷静に考えられる人は少ないと思います。
だからこそ、被災していない今のうちに、
「片付ける前に写真を撮る」
ということだけは覚えておいてほしいのです。
なぜ水害では写真が重要なのか
台風や大雨による洪水、内水氾濫などによって建物や家財が被害を受けた場合、契約している火災保険に「水災補償」が付いていれば、補償の対象となる可能性があります。
まずは自分の火災保険に水災補償が付いているか、保険証券や契約内容を確認することが必要です。
そして保険会社へ事故の連絡をすると、被害の程度などに応じて、写真や書類による確認のほか、損害鑑定人などによる現地調査が行われる場合があります。
ここで問題になるのが、
水害の痕跡は時間が経つと分かりにくくなることです。
保険会社へ連絡する頃には、水が乾いていることがほとんどです。
被災した直後に、
「まず保険会社へ電話しよう」
と考える人は少ないです。
家の中は水浸し。
家具や家電も濡れている。
泥も入っている。
生活できる状態に戻すことが最優先です。
ようやく片付けが一段落してから、
「そういえば火災保険は使えるのかな?」
と保険会社へ連絡するケースがほとんどでしょう。
ところが、その頃には水が乾き、泥も掃除され、壁や外壁に残っていた浸水の痕跡が分かりにくくなっていることがあります。
そこで役立つのが、
被災直後の写真です。
「どこまで水が来ていたのか」
「どの部屋が浸水したのか」
「どんな家財が濡れたのか」
写真が残っていれば、被害直後の状態を後から確認できます。
水害の写真は「全体→近く」の順番で撮る
では、どんな写真を撮ればいいのでしょうか。
基本的には、
全体が分かる写真と、被害箇所に近づいた写真の両方を残します。
例えばリビングなら、
「リビング全体が分かる写真」
↓
「濡れた家具とその周辺」
↓
「家具や壁などの被害部分のアップ」
というイメージです。
いきなり被害箇所だけをアップで撮ってしまうと、後から見た時に、
「これは家のどこだろう?」
となってしまうことがあります。
片付け前に撮ってほしい写真
- 建物の外観全体
- 被害を受けた部屋の全景
- 壁・床・家具・家電など被害箇所の全体
- 壁・床・家具・家電など被害箇所のアップ
- 外壁や基礎などに残っている浸水の跡
- メジャーなどを当てて浸水の高さが分かる写真
余裕があれば、一方向だけでなく複数の方向から撮影しておきましょう。

浸水の高さは特に分かるように撮影する
水害の場合、特に残してほしいのが、
「水がどの高さまで来たのか」が分かる写真です。
外壁や基礎などを見ると、
「ここまで水が来ていたんだな」
と分かる泥や汚れのラインが残ります。
そのラインを写真に残します。
さらに、メジャーを地面から当ててラインの高さも撮影しておけば、
「地面から何cm程度まで浸水していたのか」
を後から確認しやすくなります。
この時も、
メジャーだけをアップで撮影しないこと。
少し離れた場所から、建物のどの部分を測っているのか分かる写真を撮り、その後メジャーの目盛りが確認できる写真を撮ります。
近くにエアコンの室外機や玄関、窓など動かないものがあれば、それらも一緒に写しておくと、メジャーがなくても後から現地で高さを確認する手掛かりとなります。
家財も捨てる前に撮影する
もう一つ忘れてほしくないのが、
家具や家電などの家財です。
冷蔵庫。
洗濯機。
テレビ。
ソファ。
ベッド。
タンス。
水に浸かって使えなくなれば、一刻も早く処分したくなると思います。
でも、可能であれば処分する前に写真を残してください。
これも、
部屋全体 → 家財 → 被害部分 → 品番・型番
という順番で撮っておくと分かりやすくなります。
また、購入時の領収書や保証書、取扱説明書などが無事に残っていれば、それらも捨てずに保管しておきましょう。
写真は火災保険のためだけではない
保険金が出るかどうかは最終的にはご加入されている契約内容に基づき保険会社の判断となります。なので、どうせ保険金は貰えないだろうなどと自分で判断して写真を撮るのをやめるのではなく、まず被害を記録してください。
被害状況の写真は、火災保険だけのために撮るものではありません。
自治体から罹災証明書を取得して各種支援を受ける際にも、被害状況を確認できる写真が役立つことがあります。
内閣府も、被害状況の写真について、罹災証明書の取得や損害保険の請求などで役立つと案内しています。
つまり、
被災直後の数分間の撮影が、その後の生活再建を助ける資料になる可能性がある
ということです。
実際に被災したら、保険申請よりも目の前の惨状を片付けることが優先になるでしょう。
泥だらけの床。
水に濡れた家具。
使えなくなった家電。
そんな光景を、
「写真なんかに残しておきたくない」
と思うかもしれません。
その気持ちは自然だと思います。
でも、火災保険は、まさにそんな状況から生活を立て直すために使うものです。
だから、水害に遭った時には一つだけ思い出してください。
片付ける前に、写真を撮る。
建物全体を撮る。
部屋全体を撮る。
被害箇所へ近づいて撮る。
浸水の高さを測って撮る。
処分する家財を撮る。
それから片付けを始めても遅くありません。
被災直後の数分間の記録が、その後の保険手続きや生活再建を助けてくれるかもしれません。
